ビジネスの細道

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希望退職の実情

グリーがついに正社員削減に着手 大阪オフィスを廃止。社員には退職を勧奨
という記事が出ており、約30人いる大阪オフィスの社員を削減するという趣旨のニュースが出ていました。ところが、同日2013年10月2日18時のプレスリリース(適時開示)で、同日付けの取締役会で200名程度の希望退職者を募集する旨のニュースがでました。
希望退職の実務慣行について考えてみたいと思います(グリーの件ではなく一般論として)。

希望退職募集の背景

 売上が落ち込んできた場合、売上の減少に比例してコスト・費用を削減できれば乗り切ることも出来ますが、コスト・費用の大半は売上に比例するものではなく、固定的に発生するものです。特に人件費は残業代や派遣社員といったテンポラリーの人材に係る費用はあるにしてもほぼ固定的に発生するものです。これは、人を雇っているかぎりは給料を払う必要があり、額も概ね一定水準であることから、人を削減しなければ給与費用を削減することはできません。そのため、業績のおもわしくない企業は、人を削減して存続を図ることになります。
 ただし、労働者の権利は法的に保護されており、会社が自由に従業員を解雇する(クビにする)ことは出来ないように法的に解雇規制がされています。そのため、まずは従業員の自発的な退職を促すべく希望退職という形式を取ることになります。

希望退職に応じるメリット

希望退職に応じるメリットは大きく2つです。
・割増退職金(付加退職金)がもらえる
・会社都合退職になる

割増退職金がもらえる

 一番のメリットは割増退職金がもらえることでしょう。6ヶ月(半年)から24ヶ月(2年)分の給与相当額が割増退職金として付加されるのが一般的です。2年分というのは大分昔の話で最近だと半年から1年くらいの割増に着地することが多いように感じます。もともと退職しようとしていた方や有利な転職ができる方にとっては希望退職の募集はまさに渡りに船という状況です。これが、希望退職を募ると優秀な人材から辞めていく、希望退職は劇薬であるといわれる所以です。

会社都合退職になる

 二番目のメリットとしては、会社都合退職になるという点です。多くの企業が退職金制度を採用していますが、退職金算定において自己都合か会社都合かで支給乗率に差異を設けているのが通常です。当然ながら会社都合退職の方が退職金は多く支給されます。
 また、毎月給料から控除される社会保険の中には雇用保険・労働保険も含まれています。これにより失業した際に失業給付(失業手当)が支給されますが、この場合にも会社都合の方が受給期間等の点で有利になります。

希望退職専用再就職支援サービス/転職エージェント

その他にも希望退職に応じることで、希望退職を募集する企業が依頼した専用転職エージェントサービス(再就職支援エージェントサービス)を利用できるということもあります。リクルートキャリアコンサルティングのウェブサイトを見ると、「人材適正化をお考えの企業様」というページに再就職支援サービスが紹介されています。これは従業員削減という形で人材適正化を検討している企業に、削減する従業員への配慮のために再就職支援をするという趣旨です。エージェントの功労等で希望退職に応じた方の多くが再就職できているように感じます。