ビジネスの細道

個人・少数人でも起業・副業して稼げるスモールビジネスやニッチ分野を研究するブログです。ニュース解説、感想、日記等の投稿も。飲食業、美容師・美容室、IT(アプリ開発、ウェブサービス)、農業が関心領域です。

知的労働者優遇の社会で難関資格取得者不人気な理由

同一労働同一賃金、同じ労働であれば同じ賃金が支払われるべきという考え方だ。この考え方を追求していくと賃金の安い海外労働者と同じ労働しかできない国内労働者の賃金はさがり、知的労働者といわれる労働層との年収格差が開いていくといわれる。ファーストリテーリングが世界同一労働同一賃金の実現を掲げたが、その際年収1億円と年収100万円に大別され中間層が減っていくだろうとの発言もあった。
単なる作業者の労働価値は下がり、知的労働者の労働価値は上がるといわれている。弁護士や公認会計士のような資格取得者は典型的な知的労働者のように思うが人気も収入も下がっている。今日もこのようなニュースがあった。

就職難で公認会計士受験者が激減 金融庁の誤算…人材の質低下を懸念 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 公認会計士試験(国家試験)の受験者が減っている。平成18年度から試験制度が改革され、合格者が大幅に増加したものの、その“受け皿”となる就職先が見つからなかったためだ。25年度の受験者はピークだった22年度の6割程度まで減少。現在、試験合格者の「就職浪人」は少なくなったとはいえ、受験を躊躇(ちゅうちょ)する人は多く、関係者は合格者の質の低下を招きかねないと気をもんでいる。

 

公認会計士は、ライブドアやカネボウといった企業不祥事を受けて企業のコンプライアンス・ガバナンス強化の一環で、一時期業務範囲が拡大した。ところが、その後はリーマンショック等もあって新規上場会社も現象し、既存上場会社もコストを抑える必要があり、公認会計士・監査法人へ支払う監査報酬・コンサル報酬も減少傾向になっている。

結局のところ、企業は知的サービスであってもなくとも、定型的なサービスには多くの対価を支払わないということだろう。冒頭、単なる作業者の労働価値は下がると書いたが、その労働者が提供する労働の結果が予測・期待できる、そしてその結果を出すための人材は無数にいるという状況化では、単なる作業者への報酬は上がらなくて当然だ。結果が期待でき、期待できる結果を出せる者が複数いるのであれば価値は下がっていく。知的労働者とはいえ、専門職が増加していけば収入は減っていくのも当然だ。

価値があがる知的労働者は、革新的なアイデア等あらかじめ結果の予測できない、期待値が大きくそして知的労働の結果期待値を上回ることもあるような労働者だろう。専門職サービスはコモディティ化してしまっており、価値があがる労働とはいいにくいように思える。知的労働者の価値があがるといわれるが、結局のところ新しいことを考える・生み出す、新しくなくとも既存技術・製品等を応用することで新しい価値を生み出すそのようなことをする労働者の価値があがるという意味なのだと思う。そうすると使用者に従属した従来の労働者像よりは起業家像に近い気がする。